こんにちは、都会よりも田舎派。ライターのNakanii(@writer_DN)です。
岡山で電車が遅れる理由には「鹿と衝突したため、車両点検中」というのが割とよくあるんですが、皆さんのお住まいの地域ではどうですか?ないですか?そうですか…。
とは言っても普通の住宅街に鹿が出てくることはまずなくて、鹿を見ようと思えばやっぱりあそこに行かなければなりません。
そう、北海道。
元道民の私、北海道にいた頃はよく鹿を見ていました。街中にも出てくることがあります。しかし、そうは言っても北海道でも地域によってその遭遇率には差があります。せっかくなら鹿と一緒にキレイな景色も同時に楽しみたくありませんか?
前置きが長くなりました。今回ご紹介したいのは世界遺産で有名な知床にある「フレペの滝遊歩道」です。鹿、見たくても見たくなくても簡単に遭遇します。遭遇しないようにしなくてはなりませんが、熊(ヒグマ)も出ます。滝、めちゃくちゃキレイです。
私が実際に行ってきた経験をもとにお話しますので、以下の事柄が気になる方はぜひご参考ください。
- フレペの滝遊歩道の場所はどこ?
- フレペの滝遊歩道ってどんな場所?鹿がいるの?熊がいるの?滝って?
- どんな準備をしていけば良いの?注意すべきことは?
目次
フレペの滝遊歩道は知床のど真ん中、知床自然センターからアクセス
フレペの滝遊歩道は世界遺産知床のど真ん中にあります。
滝への入り口は「知床自然センター」となっており、ここを拠点に「フレペの滝(別名:乙女の涙)」に向かって散策をすることになります。ナビで検索をかけるときも、「フレペの滝」ではなく「知床自然センター」で検索をかけると良いでしょう。
羅臼町へと抜ける知床横断道路に差し掛かる場所で、知床の中心地「道の駅うとろ・シリエトク」からは車で10分かからないくらいです。ただ、知床のど真ん中ですから付近には鹿や熊が出没します。道路を飛び出してくることもありますから、注意して運転しましょう。
自分でもびっくりするくらい近距離で撮影していて「おい、よくわかんねぇよ」って言いたいんですけど、建物の外観はこんな感じ。
センター内には、知床の自然を学べるパネル展示や映像ホールのほか、喫茶店、お土産屋さんがあります。タイミングによってはガイドさんが付き添ってくれるツアーも行われていますので、事前に公式サイトをチェックしてみることをおすすめします。
♀の熊(ヒグマ)の剥製も展示されていました。説明書きによれば、町に出没してしまったために駆除された個体とのこと。
知床に限りませんが、北海道では人間と野生動物の共存が課題となっています。後々ご紹介しますが安全で楽しい北海道観光のためには、動植物との距離感に注意しなくてはなりません。
フレペの滝遊歩道を楽しむための準備と、トラブル回避の予備知識
冒頭でもふれた通り、フレペの滝遊歩道には動物が出ます。また、遊歩道とはいっても道がずっとコンクリートで整備されているわけではなく、森の中の小道を歩くものと考えてください。そのため、動物への対策(主に熊)と歩きやすい格好を準備していくことが重要です。
やはりなんと言っても欠かせないのが「熊よけ鈴(ベル)」。
私はモンベルで600円くらいで買った熊よけ鈴を使いました。熊よけ鈴は「ここに人間いるからな!怖いだろ?だから近付いてくるなよ」と牽制するために使うもの。
登山道具の一種ですが、北海道観光では森のなかにある絶景を観るために熊の生息エリアに入ることも考えられます。万が一のことを考えれば、1人1つ持っておくとに越したことはないでしょう。
旅行出発前にAmazonでポチっておくのも良いでしょう。ちなみに結構うるさいです笑 製品によっては、動いても鳴らないようにする機能がついているものもありますが価格はお高くなります。
この他にも熊対策としては、「熊撃退スプレー」があります。このスプレーは熊に向かって唐辛子エキス入りの液体を噴射するもので、近付いてきた熊に刺激(痛み・驚き)を与えるもの。これで熊と一騎打ちになっても撃退できるらしい…。
知床自然センターのレンタル可能品のなかにも含まれています。「自分で買うのはちょっとな…。でも念のために持っておきたいな」という方はレンタルを検討してみてください。
また、熊が出没した場合には安全が確認されるまでは遊歩道が閉鎖されます。下記のようにTwitterでも情報発信されていますので、あらかじめチェックしておきましょう。
【遊歩道閉鎖】フレぺの滝遊歩道は8:55頃にヒグマの目撃があったため閉鎖します。現地調査の後、遊歩道解放の際は改めてお知らせいたします。(9:00発信)Furepe Waterfall Trail was CLOSED at 8:55 because a bear was sighted.
— 知床自然センター (@shiretoko_NC) 2019年7月17日
その他にも下記のような準備と注意点をおさえておきましょう。
- 動きやすい服装…森の中を歩くため、気になる方は長袖がおすすめ
- 歩きやすい靴…雨が降ったあとは道がぬかるみます。長靴もおすすめ(レンタルあり)
- 双眼鏡…遠くの動物や景色も見えるよ!(レンタルあり)
- 食べ物はNG…熊を引き寄せる可能性があります。食べ物、甘いジュースなどの持ち歩きは控えましょう。
- 動物には近付かない、食べ物をあげない…食べ物をあげると人里に出てくることがあります。駆除の対象にもなります。狐であればエキノコックス等に感染する可能性も。
- 植物は摘まない…動物だけでなく植物にも優しくしてね!
上記はあくまでも一例です。他に不明点や心配なことがあれば問い合わせてみましょう。
フレペの滝遊歩道はこんな場所!実際に歩いてみた
ここは北国のサバンナ、全身で自然を感じよう
今回私が歩くコースは、フレペの滝に向かって歩く「フレペの滝遊歩道」コース、所要時間約40分で歩行距離約2km。知床自然センターからは他にも周辺を散策するさまざまなコースがあります。センター内や公式サイトにも情報は掲載されていますので、目的に応じて選んでくださいね。
それではセンターを出てフレペの滝遊歩道を歩きます!
最初だけ舗装されています。この時は2018年6月上旬。エゾハルゼミが鳴く季節です。長袖で来ましたが、天気が良くて正直暑い。
あっという間に森に入りました。もう道は舗装されていません。若干のアップダウンがあります。
この日はかなり暑い日でしたが、木陰に入ると涼しくて気持ちが良い。葉擦れの音、エゾハルゼミが元気に鳴く音だけが聞こえる場所。サワサワサワ…ビビビビビ…。
しかし、何やらガサガサ音も聞こえてきます。ベルを手で意図的に鳴らしながら辺りを警戒。結構怖い。
場所が場所だけに「終わったかも…」とも思いましたが、双眼鏡で周囲を捜索。すると、近くの樹の下に生き物の影が見えます。
あれは…
鹿でした…!(水曜どうでしょう感がすごい)
猛獣の熊かと思いきや鹿でした。良かった本当に。私が気づいていないだけで、かなり近くに鹿がいました。
モソモソと動いて草を食べている様子。時々こちらにちらりと目をやりますがお構いなし。やはりここは彼らの住処で、私のほうがよそ者のようです。センターから歩き始めてものの数分での遭遇でした。さすが知床。
フレペの滝到着!”乙女の涙”と呼ばれる理由とは…?
さぁフレペの滝へ向かいます。
空が白飛びしてしまっていますが、フレペの滝遊歩道は歩いていて気持ちの良い空間です。森を抜け後ろを振り返ると、大きな空が広がっていました。遠くには雪がまだ残る知床連山が見えます。
その後も、双眼鏡で周囲の動物や植物を探しながら歩く私。探検気分でかなりゆっくり歩いたつもりでしたが、コースガイド通りの片道約20分でフレペの滝に到着です。展望台から滝を見てみましょう。
少し見えにくいのですが、画像左の崖から海に向かって注ぎ込むのが「フレペの滝」です。地下水が染み出して滝になっているため、日にもよりますが元々水量は少なめ。”乙女の涙”の愛称通り、斜面から優しく流れる水が美しい滝です。
崖の際にある展望台からの眺めなので、画角が限られますが寄ってみるとこんな感じ。周囲の景色を眺めながら少し休憩です。
こいつ跳ぶぞ!鹿が見つめるその先に…
それでは帰ります!知床自然センターに戻ります。帰りはサバンナのような景色が広がる道を通ります。ここ、本当に日本なのか。
こんな広ーい場所で熊が突進してきたらどうしようと考えながら歩く私。
遊歩道のすぐ脇にいました、鹿です。今度は群れです。相変わらずこっちの存在はお構いなしで、何かを食べている。ただ、時折頭を起こし、遠くの森をジッと眺めるのが怖い。俺にはわからない何かの気配を感じるのか?それは熊なのか?いるなら俺にも教えてくれ…。頼むから…。
そうこうしていると…
こいつ、跳んだぞ…!
私の眼の前に続く遊歩道をぴょーんぴょーんと横切り、どこかへ消えていく鹿。群れの他の個体もなんとなくザワザワし始めました。
あ、ダメだ。帰ろう。来る時は「やっぱり知床すげぇすげぇ」言いながらゆっくり歩いていた私でしたが、この直後は早足になるのでした。
動植物の楽園「知床」、
というわけで、これでフレペの滝遊歩道および知床自然センターのご紹介を終わります。フレペの滝遊歩道の魅力は画像つきで詳しくご紹介しましたが、知床自然センターもとても楽しい場所です。
知床の豊かな自然だけでなく、北海道が抱える動物と人間の共存の問題もわかりやすく楽しく学ぶことができます。大人も子どもも、道外からお越しの方でも充実した時間を過ごすことができます。
なお、センターで購入できるお土産の一部には、売り上げの一部が知床の自然・動物を守る活動に役立てられるものもあります。
これは私が購入した知床財団のピンバッジ。かわいくないですか?フレペの滝遊歩道もとい知床は、とてもステキな場所です。こんな場所そうそうありません。
知床の自然を守るために私のような素人にできることはあまりありません。ただ、動植物に配慮しながら知床を楽しみつつ、少しでも寄付をすることで協力することはできるのかなと感じました。
「鹿を見たいなら知床へ」でスタートしたこの記事ですが、実際に行ってみると本当にいろいろなことを感じる場所だと思います。知床は札幌の真逆に位置するため、ちょっと足を延ばしにくい場所ではありますが、ぜひ選択肢の1つに入れていただければと思います。